Saturday, September 11, 2010

CTI compiled by Wax Poetics! 3 CDs,1 Vinyl Single, and T-Shirts by Chuck Stewart!

The first three CTI compilations scheduled for November 3rd release were prepared by the guys from the Japanese team of Wax Poetics magazine & website. They include tracks not only from the golden era of Creed Taylor's main CTI imprint, but from its subsidiary labels Kudu and Salvation as well.Johnny Hammond's dancefloor classic "Star Borne" (from his Salvation album "Gambler's Life," produced by Larry Mizell) starts the CD "Dance Classics of CTI Records" (CTI KICJ 601), which also includes another frenetic track from the Salvation catalog: "Stanley's Tune," the Stanley Clarke-composed opening tune from Airto's "Virgin Land," produced by Billy Cobham. The soul/R&B-oriented grooves from the Kudu vaults are represented by Ron Carter (Dave Grusin's "Baretta's Theme"), Esther Phillips' "Boy, I Really Tied One On" (with Allan Holdsworth on slide guitar), a couple of Hank Crawford's tracks -- "Sugar Free" and Carole King's "Corazon" -- and two groove lessons provided by legendary drummer Idris Muhammad: "Turn This Mutha Out" and "Hard To Face The Music."

Not coincidentally, all of these Kudu gems were arranged by former James Brown maestro David Matthews, who appears as a leader on "You Keep Me Hanging On." It's a very nice sensation when I realize that most of the first CD reissues of all these albums were produced by...Arnaldo DeSouteiro! "Dance Classics" also includes contributions by two top South American arrangers: Eumir Deodato (his own "Super Strut" and an epic version of Moody Blues' "Nights In White Satin") and Lalo Schifrin ("Macumba," featuring Steve Gadd).(Johnny Hammond)

"Soulful Vocals Of Cti Records" (CTI KICJ 602) features such singers as Patti Austin ("Say You Love Me," "Little Baby" & "More Today Than Yesterday"), Esther Phillips ("Home Is Where The Hatred Is" & "Unforgettable"), Nina Simone ("Rich Girl" & "Baltimore"), three song stylists who recorded successful solo albums for Creed Taylor during the '70s. But the tracklist also includes "vocal tracks" from sessions led by some of CTI's main instrumentalists like Idris Muhammad (the title track from "House of The Rising Sun," sung by Frank Floyd), Hank Crawford ("I Hear A Symphony," featuring Patti Austin) and two songs - "My Girl" and "California Dreaming" -- from David Matthews' Kudu album "Shoogie Wanna Boogie," on which a nice trio of backing singers (Vivian Cherry, the late Gwen Guthrie and once again Patti Austin) provides soulful vocals. There's also a track from the Phil Upchurch/Tennyson Stephens collaboration ("You Got Style"), but, curiously, the Wax Poetic guys ignored George Benson, who could & should have been represented here by such famous recordings as "Summertime," "Hold On, I'm Comin'" and "Supership."(Joe Farrell)

Joe Farrell's massive title track from his (never reissued on CD...) "Canned Funk" album begins "Sample & Breaks Of CTI Records" (CTI KICJ603). It's by far the most interesting track in this compilation, completed by a selection of predictable, although great, choices. The list includes Deodato ("Rhapsody in Blue," "September 13"), Milt Jackson ("Olinga"), Hubert Laws ("I Had A Dream"), Stanley Turrentine ("Sister Sanctified"), Gabor Szabo ("Ziggidy Zag") and the favorites of the Wax Poetics guys: Idris Muhammad ("Power of Soul"), Hank Crawford ("Wildflower"), Johnny Hammond ("Rock Steady") and Esther Phillips ("That's All Right With Me".) The CD front cover brings photos of Bob James, Weldon Irvine, Ron Carter, Billy Cobham and Cornell Dupree (pictured by renowned photographer Chuck Stewart) from the recording sessions, at Van Gelder Studios, of Stanley Turrentine's "Cherry" album, which yielded the track "Sister Sanctified" included in this CD compilation, but already previously available on Arnaldo DeSouteiro's "CTI: Acid Jazz Grooves" CD released back in January 1997.
(Esther Phillips)
To complete the "packet," a 7" vinyl single - featuring Deodato and Patti Austin - and special CTI T-shirts with pics by the great photographer Chuck Stewart, used in the covers of these Wax Poetics compilations, will also be available for avid CTI collectors.





ミュージック・マガジン「Waxpoetics Japan」監修による、CTIコンピレーション・アルバム3作同時発売! CTIジャケット写真集を付属ブックレットに採用した、永久保存盤!
The Story of Creed Taylor & The CTI History
70年代ジャズ界最大の「テコ入れ」?
ジャズを「素材」と見なしたクリード・テイラーの決断

 音楽プロデューサー、クリード・テイラー。元々、「ABCパラマウント」レコードのプロデューサーであったテイラーは、1960年に同社内にジャズ専門レーベル「Impulse!」レコードを発足。J.J.ジョンソン&カイ・ウェディング『The Great Kai and J.J.』、ギル・エヴァンス『Out Of The Cool』、オリヴァー・ネルソン『Blues And The Abstract Truth』、ジョン・コルトレーン『Africa / Brass』など計6枚の所謂「名盤」と称される作品をプロデュースした後、翌61年には 「Verve」レコードに移籍。ここではスタン・ゲッツ『Getz / Gilberto』、ビル・エヴァンス『Conversations With Myself』、ウェス・モンゴメリー『Going Out of My Head』といったグラミー賞受賞作を手掛けたことでも知られています。

 1967年、A&Mレコード内に「CTI(Creed Taylor Issue)」を発足。ウェス・モンゴメリー『A Day In The Life』、クインシー・ジョーンズ『Walking In Space』といったレーベル最初期の作品には、これまでのジャズにはなかった新しい要素が敷き詰められており、CTIレーベルは新進気鋭のジャズ・レーベルとして最高の船出を飾ることに成功。その後1970年に独立し、正式名称を「Creed Taylor Incorporated」に変更。1972年、ゴスペル作品を中心とした傍系レーベル「Salvation」を立ち上げ、また1974年には、ソウル・ジャズを中心とした「KUDU(クドゥ)」をスタートさせました。

 と、まずはクリード・テイラーという人物の簡単なご説明を。 そして、「ジャズにとっての70年代」というのは、いったいどういうものだったのか? ということに続けざま着目。マイルス・デイヴィスが『On the Corner』などに顕著なぐちょぐちょとしたエレクトリック・ファンク路線にシフトし、その枝葉から派生した、ウェザー・リポート、ハービー・ハンコックのヘッドハンターズ、リターン・トゥ・フォーエヴァーといったチルドレンが、さらに電化を強め、つまりは「クロスオーバー」、または後の「フュージョン」の雛形がそこかしこで形成されたシーズンだったということは、大方の意見の一致を見るところでしょう。

 名門Blue Noteですら、所謂「LA時代」と呼ばれるユナイテッド・アーティスツ傘下におけるシーズンには、担当プロデューサーのジョージ・バトラーの改革腕の下、マイゼル・ブラザーズのスカイハイ・プロダクションなどをブレインに擁しながら、悉くソウル、ポップス要素の強い作風を標榜し、新時代に取り残されないよう苦心。同じく老舗レーベルのPrestige、Atlantic、Fantasyなどにしても、この70年代には(試行錯誤ありながらも)すでにバピッシュな4ビート・ジャズに代表される伝統的な概念からは乖離したサウンド・コンセプトを標榜し顕在化させていました。またドイツでは、マンフレート・アイヒャーが独自の審美学を軸にECMレーベルを設立。「The Most Beautiful Sound Next To Silence (沈黙の次に美しい音)」というコンセプトを掲げながら、より「アンビエント」、「フリー・ミュージック」(フリー・ジャズではありません)色の強い空間芸術の創出に従事し、当時における新しいジャズのイメージを植え付け、定着させていきました。

 「ジャズにとっての70年代」というのは、「受難」の時代であったからこそ、既存のジャズ概念からどれだけ逸脱できるか、はたまたどれだけ「大衆化」させることができるかを求められた時代と言い換えることができるかもしれません。

 「大衆化」という点では、それこそクリード・テイラーがボサノヴァ、ひいてはブラジル音楽全般をアメリカで流行・定着させた、という功績にもひとつの主眼は置かれることでしょう。もちろんそれ以前からも、スタン・ゲッツとジョアン・ジルベルト 『Getz / Gilberto』、ポール・デスモンド 『Bossa Antiqua』、日本では渡辺貞夫の 『イパネマの娘』、『Bossa Nova '67』、『Jazz & Bossa』など、”ジャズ meets ボサノヴァ”の名品は数多く存在していましたが、「現代ジャズ」の主流がさらに進化を必要とした70年代に、「ジャズの枠組からの逸脱を試みるジャズ・レーベル」の判りやすい見本として、アントニオ・カルロス・ジョビン、タンバ 4(クアトロ)、ミルトン・ナシメント、アイアート・モレイラ、ワルター・ワンダレイらのリーダー作品を積極的に本国アメリカで発表していった姿勢というのは、前述のモダン・ジャズがボサノヴァを取り入れた姿勢とはまた異なるベクトル事象として捉える方がはるかに自然かもしれません。特にアイアートのリーダー作やエルメート・パスコアルが参加した作品(ジョビン『Tide』など)においてそれは顕著と言えそうです。ボサノヴァだけでなくブラジル・ポピュラー音楽全体の潮流に目配せしながらも、いかに「気持ちいい音楽」 「誰もが聴きやすい音楽」として、それを「ジャズ臭のしないジャズ」の中で紹介できるか。時にその「無臭」さは、硬派なジャズ・ファンから「コマーシャリズムなイージー・リスニング」と批判されることもありましたが、現に70年代にロック、ポップス、ソウル・ミュージックに、ポピュラリティにおいても商業面においても唯一対抗できるジャズ・レーベルとして一時代を築いたことは紛れもない事実でした。

ブラジル音楽だけでなく、現在で言う「ダンス・クラシックス」のようなソウル・ミュージックを発表してきたこともCTIレーベルの大きな特徴と言えるでしょう。その代表的な作品でもあるパティ・オースティン『End Of A Rainbow』。爽やかな歌唱で歌われるラヴ・バラード 「Say You Love Me」を筆頭に、そこに60年代前半まで当たり前のものとして、半ば押し付けがましく鎮座していた「ジャズ、その本分とは?」といったようなヤクザなクリシェや、むき出しのエゴなどはもはや微塵も存在していません。それもそのはず。これは、れっきとしたソウル・ミュージックのアルバムなのですから。しかし矛盾するかのように、そこには、クリード・テイラーが当時思い描いていた「ジャズ側の意識改革」という信念のようなものもしっかり反映されていることに気が付かされます。アレンジャーに登用されたデヴィッド・マシューズをはじめ、スタッフ、ブレッカー・ブラザーズの面々といったジャズ(あるいはフュージョン)側のミュージシャンたちが、己の出自でもあるジャズを「手段」として活用しながら、「聴きやすく、気持ちのいい音楽」を創出し、見事に転回していく様。これを悪い意味で捉えてしまったヒトは、この時代の本当のジャズ・シーンの旨味を完全に味わい損なってしまったのではないでしょうか?

 CTI諸作品のこうした一介の「気持ちよさ」が、突然変異的に「アブない」と様変わりしたのが、90年代。ブラック・ミュージックの体系論において、まさしくヒップホップ・カルチャーの中にジャズが飲み込まれんとした時代。「サンプリング・ソース」という新たな価値観。Blue Note、Prestige、Verveといった超老舗音源からのエキス抽出にとどまらず、70年代ジャズ転換期の最旗手でもあったCTIにも、”解体業者”の手は及ぶことになります。とある有名トラックメイカーは、CTI楽曲からワン・ループを抜く際に、こう口にしたそうです。 「CTIの楽曲はどれも、まるで後世にサンプリング使用されることを知っているかのような作りになっている気がする。シンプルだけどメロディアス。なによりビートが立っている」。サンプリング世代ド真ん中の彼にとって、これはもはやジャズやブラック・ミュージックがどうこうという話でないのはもちろんのこと、むしろ「気持ちいい」ワン・ループを作るための「いち素材」として見た場合のCTI論になり、それこそがクリード・テイラーのレーベル理念に最も肉薄したところに位置するコメントのようにも感じられます。 (Creed Taylor)

 1967年、記念すべきレーベル第1作目となったウェス・モンゴメリー『A Day In The Life』では、ビートルズをはじめロック、ポップス、ソウルの名曲をドン・セベスキー編曲の下に最も「とっつきやすい」カタチのジャズとしてコンバートし、それまでのジャズのイメージにまとわり付いていた高尚さ、難解さを徹底的に排除することに努め、そこに主役ミュージシャン共々新たなジャズの活路を見出すことに成功しています。

 「大衆化」の中で模索される新しいジャズの概念、あるいは模索を経たことで結果的に行き着いた「大衆化」。質とビジネスの相互関係を鑑みると、どちらに明確な「勝ち組」の途があるとは断言できませんが、どちらにせよクリード・テイラーは、誰よりも早くジャズを、気持ちよくなるための「素材」として見なすことができたのではないでしょうか。しかしそれは決して、ジャズ固有の肉体性や精神性を「切り捨てた」ということではなく、あくまでジャズも「気持ちのいい」音楽のひとつにすぎない、という相対性にある種固執した結果。フレディ・ハバード『Red Clay』などを聴けば、全体的にクールな表層をキープしながらも、ハバード、あるいはハービー・ハンコックが奏でるひとつひとつの音の中に、しっかりとジャズが持つ「ぬくもり」のようなものを感じ取ることができるはずです。なにより、選曲・ジャケット・デザイン、録音すべてにおいて細かな気配りがされているという点に関しては、かなりジャズの伝統に忠実、あるいはジャズ・ファンの悦ぶツボを心得ているような気がしてなりません。ちなみに、初期CTI作品の録音は、そのほとんどがルディ・ヴァン・ゲルダー・スタジオで行なわれ、高級ステレオ・サウンドにおいて特によく聴こえるようにレコーディングされていたそうです。

 最後に、CTI作品のジャケット・デザインについて。ジャケット写真撮影に、カメラマンのピート・ターナー(Pete Turner)を起用し、アート・ディレクターのボブ・チアーノ、クリード・テイラー、三者の綿密なアイデアのすり合わせにより、CTIはサウンドとビジュアル面のトータル・プロデュースを図っていたことはとても有名です。ピート・ターナーは、60年代にはImpulse、Verve作品ジャケット・アート写真を多く手掛け、「色彩の魔術師」とも呼ばれたニューヨークはオールバニー出身の写真家。被写体に何かしらの規則性を持たせたり、ふとした日常動作の一瞬をヴィヴィッドに切り取るターナーの手法。有機的とも幾何学的とも解釈できる何とも不思議なイメージを抱かせる、そのシュール且つエキゾチックなジャケットに惹かれたジャズ・ファンも少なくなかったはず。そもそもが、「リスナーたちが思わず手にとってしまうジャケットを作る」というコンセプトの元に作られていたわけですから、見るものの五感をこれでもかとくすぐるピート・ターナーのフォトイズムに、ポートレイトとはまた違った趣の「音とアートのシナジー」を感じ取ることができるのではないでしょうか。

【おさらい】 CTIは、サンプリング・ソースの宝庫です。

P.U.T.S.レーベルによる ”Nuff Respect” 究極形。
 「この期に及んで」感満載の表題ではありますが、何しろ”U-25”を中心としたヒップホップ・リスナー層が、ランDMC、ブギ・ダウン、ジュース・クルーはおろか、ネイティヴ・タン、ハイエロ、D.I.T.C さえも「名前だけなら・・・」とヌカすこのご時勢。音楽の趨勢が「一周回って何とやら」となることを願いつつ、このたびリリースされるWax Poetics Japan 監修・編集のCTI音源コンパイル・シリーズ 3タイトル、今日、その中で最も注目したいタイトルが「Sample & Breaks」、というお話。

 こと日本において、現在30代半ばから40代前半のブラック・ミュージック・リスナー、とくに80年代後半から90年代全般のヒップホップを 「サンプリング・ネタ」というフィルターを通しながら追っかけてきた人たちにとって「ジャズ」という音楽、あるいは言葉そのものは、ファンキー族/ジャズ・コン・ブーム/ジャズ喫茶を原体験とされた方々に負けず劣らずの思い入れがあるのではないでしょうか? ダンス・ジャズ、レアグルーヴ、フリーソウルといった多様な価値観により自然発生的に生まれたネクスト・スタンダード・ムーヴメントとの相乗効果もあって、サンプリング世代に芽生えた、「ジャズ」に高尚な通過儀礼を要しないと判断したフランクな付き合い。それは、ヒップホップ・ギアに身を包んだ若いコがおもむろにジャズのレコードを漁るという現象を凡その最大公約数にして、それまで歴史主義に翻弄されがちにあった「ジャズ」そのものの評価が一旦白紙に戻されたことを意味しているのかもしれません。

 ジャズのレコードの山々から、Blue NoteのL.A.シーズンの作品がヒップホップのサンプリング・サイエンスにより再評価を得たのと同じく、CTIのLPに関してもそのカタログは、ビートメイキングにおける抜群の「材料」たる勲章を手にしました。ランDMCが「Peter Piper」の中で鳴らした「Take Me to the Mardi Gras」や、ヒップホップ・ビーツの骨格のみでなく、のちにハウス界のマイスター・プロジェクト=マスターズ・アット・ワーク(MAW)によってもカヴァーされた「Nautilus」など、ボブ・ジェイムスの両楽曲がこの時代にこうしたカタチで効力を発揮し、はてはサンプリング・ミュージック時代の礎を築くなどとは当の本人ですら想像だにできなかったことでしょう(そして、露骨な弾き直しを含む楽曲の無断サンプリング使用のあまりの多さに、自身の著作権を有した各楽曲にはバカ高いサンプリング使用料を課したことは有名)。80年代半ば、日本でいうところの「ミドル・スクール」期、ボブ・ジェイムスのこの2曲によりヒップホップとCTIの蜜月がはじまったと言っても過言ではなく、と同時に、それまでJBズ、クール&ザ・ギャングで足踏みをしていた日本のBボーイ連がこぞって中古レコード屋のジャズ/フュージョン・コーナー(特にエサ箱と呼ばれる100円コーナー)めがけて突進したという現象も各地で頻繁に見られるようになりました。

 90年代に入り、ヒップホップはさらにジャズとの連帯性を強めようとします。つまり、よりジャズらしい素材を用いることに「ドープ」と命名する作業が(シーンの中で)常套化されていきました。そこに「アフロ・アメリカンの伝統としての云々」といった後付けの薀蓄を垂れ流す輩も存在したとは思いますが、なにより結果事象としてのそのワン・ループにより、ヒップホップ・トラックがより深みや奥行きのある空間芸術となり得たことに大きな意味があったのではないでしょうか。 トライブ・コールド・クエストは、傑作と名高い3rdアルバム『Midnight Marauders』(1993年)の重要曲で、次々とCTI音源の旨味ダシを抽出したトラックを披露。特に「Sucka Nigga」におけるフレディ・ハバード「Red Clay」使いには、元曲の評価以上にその審美眼にどれだけ多くの拍手が送られたことでしょうか。ヒップホップ・サイドからの「CTIはボブ・ジェイムスだけじゃねえ!」という声を数多聴く、そんな事態を招いた瞬間でもありました。

 また、クラブ・ジャズ方面では、アイアート「Tombo In 7/4」を筆頭とした所謂「ブラジリアン・ジャズ・ダンサーズ」楽曲がカヴァー、リミックス、DJプレイなどで取り上げられる機会が同時多発的に発生。こうした一連のクラブ・サイドからの熱いラブコールの流れを受け、90年代後半~2000年代前半にかけては、音楽業界全体に「CTI 再評価」の波が一気に押し寄せ、角松敏生、青木智仁といったフュージョン・シーンに所縁のある邦人プレイヤーによるCTI音源のプライベート・セレクション・コンピも多数リリースされました。

 とはいっても、これはあくまでも「ヒップホップという肉体」にヴァージョン・アップされるがための「ジャズというイチ栄養素」としての評価であり、該当ループ箇所のみに針を落とした場合はやはり、真っ当な、または積極的なCTIの再評価と呼べるものではないはずです。大切なのは、これを入り口にして、次は”森”を見てみることなのかと・・・。そうした意味でも、逆算的に聴く面白さを多分に含む「Sample & Breaks」編に要注目なのであります。おせっかいついでの「CTI 大厳選サンプリング・リスト」を、最後にどうぞ。

5 comments:

Alain Manuel said...

Bonjour Arnaldo,

Il me semble que le choix de Wax Poetics est cohérent.Il a chanté que sur 3 titres de 1971 à 1976. C'est très peu. Benson en solo ou comme sideman sur CTI c'est avant tout comme guitariste. Le "chanteur de charme" viendra plus tard.

Merci pour les news ;)

Alain

Arnaldo DeSouteiro said...
This comment has been removed by the author.
Arnaldo DeSouteiro said...

Cher Alain,
So nice to hear from you again!
IMHO, it still sounds "strange" that George Benson - one of the CTI essential heroes - has not been included in any of these three forthcoming Wax Poetics compilations. At least as a guitarist he should have been selected, since many of his tracks became "dance" and "break beats" hits in the acid-jazz/dancefloor scene all over the world.
Among them, his fabulous version of "Knock on Wood," which I've included as the opening track in the best-selling compilation I produced for CTI in 1997, "CTI Acid Jazz Grooves," a Top 10 album in the Japanese charts.
Besides the three Benson vocal tracks I mentioned on my above post, I think that a fourth one, "Moody's Mood" (released on the "Pacific Fire" LP and an even better version than the later one recorded for Warner on "Give Me The Night") could fit perfectly well on the "Soulful Vocals" CD. It would be a personal delight to listen to it before or after Nina Simone's "Rich Girl" for example.
Please keep writing, your contributions are always welcomed. And your blog remains an invaluable source of pleasure for all CTI lovers. A bientot!
Arnaldo

Unknown said...

Thanks for the props, but we didn't help with this project!

Arnaldo DeSouteiro said...

Hi WP Guys,
Firstly, thx for reading!
Secondly, I double-checked the infos with CTI and its distributor in Japan, King Records, and both confirmed that all these 3 aforementioned compilations were co-produced by the Japanese division of Wax Poetics. Please check with your team in Japan.
Respect,
Arnaldo